頂きもの

樹さま/俺の彼女(悠也×美海)

放課後。
部活生の声が響くグラウンド。
教室には柔らかな夕日が差し込む。
そんな中、悠也は美海を待つ。
一緒に帰る約束をしていて、悠也が教室で待っている所だった。


パタパタと廊下を走る音がする。

「美海かな?」


ガラリと扉が開く。
息を切らした美海が、申し訳なさそうに悠也に一言。


「ごめんね、先に帰ってて?」


「は?」


「あのね?屋上に呼び出されて。朝、下駄箱に手紙が入ってたの」

……それは告白と言うものではないのだろうか?いや、それ以前に、美海は気づいていないのか?これ程までに天然なのか!?


「もうすぐ、時間だから、先に帰ってていいよっ!」


悠也が待てという暇もなく、彼女は屋上に向かって走り出す。


「はぁ……」


無防備にも程がある。
そんな彼女が愛しくて堪らないのだけど。自分と美海の時間を邪魔してくれた男子生徒に若干の殺意を覚えつつ、屋上へと向う。



一方の屋上では、それはそれは大変な事態だった。


「ちょ、あのっ!」


「好きなんだ、美海ちゃん」


告白されたまではよかったが、抱きつかれていた。断ろうとおろおろしていたらこの始末。悠也に残ってもらえばよかった
と後悔する。


「美海ちゃん、僕と……」


バタン、と一際大きな音がする。


「ゆ、悠也!?帰ったんじゃ……」


「自分の彼女が他の男に告白されてるって言うのに帰るバカじゃないさ。」


「悠也っ!」


安心で更に涙が出てきた。


「というわけで、俺の彼女、離してくれない?」


「あ……」


「早く離せよ」


美海には聞こえない声でぼそりと告げる。男子生徒は走り去る。よほど悠也が怖かったのだろう。


「美海」


「っ……ごめんなさいっ……」


こちらも怖かったのだろう。さっきから震えている。
ポンポンと背中を叩いてやれば抱きつく。安心したように。


「美海、これからこんな手紙貰ったら、1人で行動しないこと。」


「……はい。」


「わかればよろしい。あ。」


「え?」


「美海、キスして」


「ええ!?」


「俺を心配させた罰。いいよね」


「あ、えと…」


「ほら?目を瞑ってるから」


早く、とせがまれて。
綺麗な顔立ちにそっと引き寄せられるように。
悠也のそれに自分のそれを重なる。

その熱はひどく熱くて、甘い。


「美海、よくできました」


そう、微笑まれて。
更なる熱と甘さを与えられる。

そんな放課後の出来事。








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