ふわふわと柔らかそうな髪。 にこりと笑った時の笑顔。 その全てに魅了されて、気づけば好きになっていた。 「千里ちゃん!」 「きりと……?」 「ねぇねぇ、千里ちゃんはお菓子好き?」 「お菓子?」 「うんっ!クッキー」 そう言う、きりとの手を見れば焼きたてらしいクッキー。 「家庭科の実習で作ったから、千里ちゃんにあげようと思って。」 「……ありがとう」 きっとこの行動に深い意味はない。小さい頃から一緒で、家族のように仲が良かったから。 その気持ちが恋愛感情に変わったのはいつからだろう。 幼なじみに恋なんてありがちだと思っていた自分が、まさか幼なじみに恋をしてしまうなんて。 「うん、良かったら食べてね!温かいうちがおいしーよ?」 「クッキーって冷めても美味しいと思うんだけど。コンビニとかのお菓子売り場のクッキーはどう見ても冷めてるじゃない。」 「いいの!温かいうちは手作り感があるでしょ?それに……」 「?」 きりとが遠慮しがちに見つめてくる。なんなのだろう? 「早く千里ちゃんに食べて欲しくて……」 「!!」 照れながらそんな事を言うきりと。不意打ちもいいところだ。彼は自覚してやっているのではないから、尚更悪い。可愛い彼のそんな行動に、いつも翻弄されそうで。 キーンコーン カーンコーン 予鈴が鳴り響く。 「あ、僕もう行かなきゃ!じゃあね、千里ちゃん!」 にこりと人懐っこそうな笑みを浮かべて走り去っていく後ろ姿。 自分の頬が熱い。 急激に熱を帯びる。 「……バカ」 丁寧に包装しているクッキーの包みのリボンをほどいて1枚取り出し、かじる。 それは温かく、甘い味がした。 了 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |