【農山村社会の「結い」とは】
 「相州連合会」という暴走族のリーダーだった伊藤幸弘氏は、少年期を冷たい家庭で過ごした。淋しさのあまりオートバイを乗り廻し暴走族の仲間に入った。傷害事件を起こし、刑務所に入った。

 刑期を終えて出所したとき、門の前に軽四輪が停まっていた。勤め先の自動車修理工場のクルマだった。乗り込むと職場の同僚たちが乗り込んできて彼を囲んだ。このスタイルが後まで続く。

 職場に帰って寮に帰ると同僚たちが部屋に押しかけ、語り飲み終わって、彼が飲み終わるまで一人にしなかった。

 日曜日は毎週のように海釣りに誘われた。午前4時から夜中まで仲間と一緒だった。3ヶ月もこの生活スタイルが続くと、かつての暴走族やその背後にいる暴力団から電話がかかってこなくなった。

 実は、彼が刑務所から出てくるとき、仲間たちの軽四輪から離れたところに暴力団のぴかぴかのベンツが停車していたのだった。

 おわかりのように、彼の仲間たちは刑務所から出た元暴走族を再び昔の仲間の手に落ちないように、柔らかく温かい人間の防壁をつくったのである。

 この人間の輪は昔からあった。農山村社会には「結」(ゆい)と呼ばれる共同体があり、農作業・道・冠婚葬祭・村落の行事など、村落単位が集まって力を出し合い、仕事をこなしていった。そうした「結」がコミュニケーションの場であったことはいうまでもない。                 『ふだん着の幸福論』草柳 大蔵 著より





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