DREAM1

約束しよう
1/1ページ目

ヴァージンロードを歩くお姉ちゃんのウェディングドレス姿は身内の贔屓目で見ても溜め息が出るほど綺麗。
隣にいるグレーのスーツに身を包んだケンイチもぽかんと口を開けて見ている。

生花で美しくデコレーションした長椅子に私たちは着席し、式が始まる。

西洋人の神父さんが訛った日本語での説教がこの笑っちゃいけない雰囲気の中、
ますます笑いを誘う。
厳かな空気の中、下唇を噛んで俯きながら笑いをこらえた。


マキさーん、アナタハ〜・・・誓エマスカ〜?


ぷっ。
気付いたら隣のケンイチも肩を震わしている。
肘で横腹をつつくと、コホンと咳払い。
神父さんの話はまだ続く。


健ヤカナル時モ病メル時モ〜・・・


ケンイチの震えが酷くなる。
でっかいブーツ(いつものゴツいマーチン)をヒールの先で踏みつけた。

笑いは伝染する。
私はたまらず吹き出してしまい、前列の参列者が訝しげに振り返った。
私は口を押さえ、ケンイチのマーチンが私のヒールを軽く蹴る。


「笑うか?普通」
「もうっ!ケンイチのせいだよ」
「人のせいにすんなよなー」
「もう!せっかくまきちゃんの晴れ姿にしみじみ涙しようと思ったのに泣けなかったじゃん!」
「ってわいのせいかよ!」


式が終わり、私とケンイチは、渡されたバラの花びらを手にしながら喧嘩しつつ
お姉ちゃんと今日から兄になる人を待機する。


ワァッと歓声が上がり、振り返ると、幸せな笑顔がほころぶ新郎新婦が登場した。
私はおめでとう、と心から2人にお祝いを言い頭をめがけて花びらを投げる。
お姉ちゃんが私とケンイチを見てにっこり笑う。


「あれがまきちゃんの選んだやつか」
「そう」
「で、##NAME1##が好きだったやつ?」
「まぁね」
「わいの方がいい男じゃん」
「…自分でそういうこと言う?」


私が呆れて言うと、鼻の横を掻きながら

「だって誰も言ってくれね〜んだもん」

自分で言うしかないじゃん、なんて。

ケンイチの良さは私が一番知っているつもり…だけど
そんなことは口が裂けても言ってやらない。
でも言葉の代わりにそっと手を繋いでみた。
ぎゅっと握り返してくれる大きな手。


花嫁と花婿を祝う歓声の中、私にだけ聞こえる声でケンイチが私を呼んだ。


「##NAME1##」
「んー?」


いつになく真剣な顔で私ではなく、高く晴れ渡った青空を仰ぎ見る。
私も釣られて顔を上に上げた。


「じーさんばーさんになってもさ」
「うん?」
「こんな風に手を繋ごうな」


こっそり目線をケンイチに向けると、耳まで真っ赤になってるし!!


向こうの方で、お姉ちゃんがブーケトスの準備をしている。
ワイワイ騒ぐ独身の女の子の輪に私も交じりに行った。
ブーケが宙を舞う。これをキャッチするのは私!
ケンイチと幸せになるんだから!




健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、
これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか。




キャッチしようと大きくジャンプしたら、
ケンイチが照れくさそうに「可愛いじゃん」と褒めてくれた
大きく風が吹き、ドレスの裾がふわっと揺れた。

おわり

[指定ページを開く]

章一覧へ

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ