実況自殺ビデオ

 アイドルや有名人に病的なファンは付き物だが、映画『ダンサー・イン・ザ、ダーク』などで知られる歌手ビョークのそれは、類例のない狂信ぶりだった。

 1996年1月、ビョークがある黒人ミュージシャンと婚約すると知ったその男は、彼女宛に1冊の本を贈ることを思いついた。リカルド・ロペス、21歳の誕生日のことだった。

 彼はビョークへの贈り物として、分厚いハードカバーの中をくり抜いて、表紙を開くと硫酸が勢いよく顔面へと吹き出す“仕掛け本”を作り始めた。この奇抜なプレゼントを製作する過程を、彼は撮影し続けた。8ヶ月にわたって自画撮りされた映像の中では、ビョークへの愛を語り、裏切られた悲しみに嘆き、時に彼女の曲を口ずさみながら踊る。メダボと類される体つきだったが、映像では常に半裸だった。そしてついに完成した仕掛け本をビョークへと送りつけた後、スキンヘッドになって顔中を真っ赤にペイントした。

 渾身の力作が彼女を死に至らしめると疑わなかったのであろう彼は、その後の世界にもう用はないとばかりに、ビョークの歌声を聞きながら、38口径のリボルバーで自分の頭を撃ち抜いた。最期の瞬間まで背景に映り込んでいたプレートには“THE Best OF ME(俺様サイコー)”と手書きされていた。

 ビョークとの“遠隔心中”には失敗したが、残された総計22時間にも及ぶ11本のビデオテープの存在がその後の彼女の人生に影響を与えたと知ったら、やはり彼は喜ぶだろうか?自殺現場でこの映像を見つけた警察が先回りして難を逃れた彼女だったが、マスコミから追い回された挙げ句、婚約は解消、逃げるようにしてロンドンからスペインへと住処を移した。

 21歳の若者が命懸けで惚れたビョークは当時30歳。離婚歴有り、10歳の息子もいた。


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